自己PR・ガクチカ
2026.09.11 公開
読了 4分
「主将でした」の一行を消して
から始める経験の棚卸し
役職名は、あなたが何をした人かを説明しない。主将、副主将、学年リーダー。どれも肩書きであって中身ではない。ここでは役職を一度消したうえで、決めたことと変えたことを掘り出す質問を順番に並べる。紙とペンを用意して、上から手を動かしてほしい。
役職名は、経験の中身を隠してしまう
「主将を務めました」と書くと、書いた側は説明が終わった気になる。読む側は何も分からない。主将の仕事は組織ごとに違う。練習計画を全部組んだ人もいるし、監督の決定を伝えるだけの人もいる。同じ肩書きで中身が正反対になる。だから採用側は肩書きを見ても判断できない。判断材料になるのは、あなたが何を決めて、何を変えたかだけだ。
逆に言えば、役職がなかった人も不利ではない。決めたことと変えたことは、立場に関係なく積み上がっている。以下の手順は、役職の有無を問わず同じように使える。
手順1. 紙の一行目に書いた肩書きを、線で消す
最初にやるのは削ることだ。書きかけの自己紹介文から、役職名と大会名を全部消す。残った文を読む。ほとんど何も残らないなら、それが今の状態だ。ここから埋めていく。
消す対象は次のもの。これらは「すごさ」を伝えるが、「何をしたか」を伝えない。
- 主将、副主将、学生コーチなどの役職名
- 大会の名前と、そこでの順位
- 所属していた組織の名前と歴史
- 「厳しい環境で」「強豪の中で」といった形容
手順2. 決めたことを、時間の順に並べる
次に思い出すのは「決めた瞬間」だ。あなたが選択肢を二つ以上持っていて、片方を選んだ場面。大きさは問わない。練習の順番を変えたのも決定だし、誰に声をかけるかを選んだのも決定だ。
思い出せないときは、下の質問に一つずつ答える。答えは一行でいい。書けない質問は飛ばしていい。
No
自分に投げる質問
答えを書くときの目安
01
最後の一年で、やめたことは何か
やめた対象と、やめると決めた理由を書く
02
新しく始めたことは何か
誰の提案か、自分の提案かを区別する
03
自分が言わなければ通らなかった意見はあるか
誰に、どんな場面で言ったかまで書く
04
周りと意見が割れたとき、どう決着させたか
譲った場合も書く。譲った理由が中身になる
05
自分の担当ではないのに、引き受けた仕事は何か
なぜ自分がやることになったのかを書く
手順3. 変わったものを、変わる前と並べて書く
決めたことの隣に、変わったものを書く。ここで勝敗や記録を持ち出さなくていい。勝敗はあなた一人の結果ではないし、負けた人が語れなくなる。代わりに、目に見える変化を探す。
01
人の動きが変わった
以前は誰もやらなかった作業を、誰かがやるようになった。集まる時間が早くなった。休む人への連絡の仕方が変わった。
02
やり方が変わった
練習の順番、道具の管理、記録の残し方。前はこうだった、今はこうなっている、と二つ並べて書ける形にする。
03
自分の動きが変わった
以前は黙っていた場面で、今は先に口を開くようになった。変化の前後を、具体的な場面で示す。
三枚のうち一つでも埋まれば十分だ。埋まらないカードは空けておく。空欄を無理に埋めた文は、面接で必ず崩れる。
手順4. 「なぜそう決めたか」を一つずつ足す
ここが一番差がつくところだ。決めたことと変わったことが並んでも、間の理由が抜けていると、偶然そうなった話に聞こえる。理由を足すと、あなたの判断の癖が見える。仕事で見られているのは、その癖だ。
理由を書くときは、何を犠牲にしたかまで書く。何かを選ぶことは、何かを捨てることだからだ。「全員の意見を聞いた」ではなく「時間がかかるのを承知で、先に全員に聞いた」と書く。前者は誰でも言える。後者はあなたしか言えない。
よくある間違い
理由の欄に「チームのためを思って」と書いてしまうこと。これは理由ではなく態度の表明だ。何を見て、何が問題だと思ったのかを書く。「練習後に片付けが終わらず、下級生だけが残っていた」のように、目で見た事実から始める。
手順5. 書き換える。肩書きは最後に一言だけ添える
手順2から4で埋めた紙を材料に、文をつなぐ。順番は「見た事実」「決めたこと」「やったこと」「変わったこと」。役職名は最後に短く添えるか、書かなくていい。中身が書けていれば、肩書きは補足で足りる。
Before
主将としてチームをまとめ、全員が同じ方向を向くよう努力しました。厳しい環境の中でリーダーシップを発揮し、最後まで諦めない姿勢を貫きました。
After
練習後の片付けが下級生だけに残っていると気づき、担当を学年混合の当番制に変えました。反発を見込んで、上級生から先に組み込みました。三週間で片付けの終了時刻が揃い、以降は当番表なしで回るようになりました。
afterの文には、役職も大会名も入っていない。それでも何をした人かは伝わる。これが目指す形だ。
書いたものを、一度見てもらえます。
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今日のうちに終わらせる作業
読み終えたら、次の三つを続けてやってほしい。所要時間は合わせて三十分程度だ。
- 手順2の五つの質問に、一行ずつ答えを書く。飛ばした質問には印をつける
- 埋まった答えのうち、最も具体的に思い出せるもの一つを選ぶ
- 選んだ一つについて、afterの文と同じ順番で四文を書く
四文が書ければ、面接で三分は話せる。話が続かないのは経験が足りないからではなく、経験を分解していないからだ。分解した紙が一枚あれば、聞かれ方が変わっても答えられる。役職の一行より、その紙のほうが役に立つ。
就活・転職グランドスラム編集部
最終更新 2026.09.11
