面接の受け答え
2026.09.13 公開
読了 4分
白村明弘のキャリアから考える、
面接で「競技をやめた理由」の話し方
白村明弘という名前で検索した人の多くは、競技を離れた後の進み方を知りたいのだと思う。面接で「なぜやめたのか」と聞かれたとき、答えは三段で組める。事実、区切りの判断、次に置いた基準。今日その場で書ける手順にした。
白村明弘の名前で検索した人が、本当に知りたいこと
元プロ野球選手が競技を離れた後、どんな仕事に移ったのか。白村明弘のような経歴をたどる人の記事を読むとき、多くの人は成功の物語を読んでいるのではない。「やめた後、この人は何を基準に次を選んだのか」を読んでいる。
面接官が「なぜ競技をやめたのですか」と聞くときも、同じところを見ている。やめた理由そのものを責めたいのではない。区切りをつけた後、自分で何を決めたかを聞いている。ここを取り違えると、答えが言い訳か美談のどちらかに寄る。
以下、三段で組む手順を刻む。紙かメモ帳を開いて、手順1から順に書いていってほしい。
手順1. 事実だけを、三行で書く
最初に書くのは事実だけだ。感情も反省も入れない。いつ、どういう状況で、何が起きたか。三行に収める。
- 何年の何月に競技を離れたか
- そのとき自分が置かれていた状況(契約、故障、学年、進路の期限など)
- 離れることを決めたのは自分か、他者からの通告か
三つ目は書きにくい。だが正直に書く。通告された側だったなら、そう書いてよい。面接で嘘をつくと、掘り下げられたときに崩れる。事実は事実として置き、判断の話を次の段に分ける。この分離ができるかどうかで、話の強度が変わる。
よくある間違い
事実の行に「悔しかった」「力不足でした」を混ぜてしまう。混ぜると、面接官には反省文にしか聞こえない。感情語は一度すべて削る。削っても伝わる話になっているかを確かめる。
手順2. 区切りをつけた日に、自分が決めたことを書く
ここが本体だ。競技を離れた事実は、誰にでも起きる。差が出るのは、その後の一週間から三か月で何を決めたかにある。
次の問いに答える形で書く。答えが出ないものは飛ばしてよい。三つ埋まれば十分だ。
No
問い
書くときの目安
01
やめた後、最初に自分から動いたことは何か
人に会いに行った、資格を調べた、働き始めた。小さくてよい
02
続けるか迷ったとき、何を見て決めたか
体の状態、経済的な期限、家族との話。判断材料を具体的に
03
やめないという選択肢を、いつ捨てたか
捨てた時期と、捨てた理由を一行で
04
その決定を、誰かに相談したか
相談したなら誰に、しなかったならなぜ一人で決めたか
競技を長くやってきた人ほど、この段が空白になりやすい。やめた後しばらく何もできなかった、という人もいる。それも書いてよい。「二か月動けなかった。三か月目に、まず働き先を探すと決めた」は立派な判断の記述だ。動けなかった期間を隠すより、そこから動き出した地点を示すほうが伝わる。
美談にしないための一行チェック
書いた文を読み返し、次のどれかに当てはまったら書き直す。
- 「競技で得たものは一生の財産です」で終わっている
- 誰かの言葉に背中を押されて決めた、という構図になっている
- やめた理由が、自分の外側(環境・指導者・怪我)だけで説明されている
三つ目が一番多い。怪我でやめた人は、怪我は事実として手順1に置く。手順2には「その状態で、いつまで続けるかを自分で決めた」と書く。事実は外にあってよいが、判断は自分の側に置く。
手順3. 次に置いた基準を、言葉にする
最後の段は、仕事選びの基準だ。競技をやめた人が次に選ぶものには、必ず基準がある。本人が言葉にしていないだけだ。
01
続けたいものを軸にした
競技そのものは離れても、体を動かす環境や、勝ち負けが数字で出る仕事を選んだ、という筋道。基準が明快で説明しやすい
02
捨てたものを軸にした
実力が一つの尺度で測られる世界から離れたかった、という筋道。逃げに聞こえないよう、代わりに何を尺度に置いたかを必ず添える
03
生活を軸にした
収入の見通し、家族、居住地。現実的な基準は、隠すより言い切ったほうが信用される
三枚のどれかに寄せる必要はない。自分の言葉で一行にする。「自分の努力が誰かの成果につながる仕事にする」でも、「成果が月ごとに見える仕事にする」でもいい。抽象度が高すぎると感じたら、その基準で実際に何を選び、何を選ばなかったかを一つ添える。選ばなかったものを言えると、基準が本物だと伝わる。
三段をつなげて、書き換える
手順1から3を、そのままの順でつなぐ。接続詞は少なくていい。実際の書き換え例を置く。
Before
大学まで競技を続けてきましたが、上のレベルでは通用しないと感じ、引退を決意しました。厳しい環境で培った忍耐力と、仲間と一つの目標に向かった経験は、必ず仕事でも活かせると考えています。
After
四年の春に肩を痛め、六月に競技を離れました。復帰の見込みを医師に確認した上で、その年のうちに働き始めると自分で決めました。次を選ぶ基準は、努力の量と結果のずれを自分で検証できる仕事にすることです。そのため、成果が個人単位で見える職種に絞って調べています。
後者は自慢をしていない。感謝も語っていない。それでも、事実と判断と基準が並んでいるので、面接官はこの人の決め方を把握できる。話す時間は四十秒ほどだ。
書いたものを、一度見てもらえます。
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今日やること
読み終わったら、次の三つを紙に書く。三十分あれば終わる。
- 手順1の三行。感情語を入れずに書く
- 手順2の問いのうち、答えられるものを三つ
- 手順3の基準を一行。そのとき選ばなかったものを一つ添える
書いたら声に出して読む。主語と述語がずれている箇所、言い訳に聞こえる箇所が耳で分かる。分かったところを直して、もう一度読む。二回読み返せば、面接で使える形になる。
競技をやめた事実は変えられない。変えられるのは、その日を境に何を自分で決めたかを、言葉にしてあるかどうかだ。他人のキャリアをいくら読んでも、この三十分の代わりにはならない。
就活・転職グランドスラム編集部
最終更新 2026.09.13
